水上村チャッカソン

【水上村チャッカソンVol.4】お試しワーケーションが遂に実現!株式会社reQをおもてなし

凛とそびえる霊峰市房山に抱きかかえられ、人口約2,100人が暮らす熊本県球磨郡の水上村。

水上村は若者の人口流出と雇用減少に悩まされており、解決策となる企業誘致に自治体と村民が一丸となって力を入れている状況です。

2020年10月、水上村での企業誘致に繋がるアイデアをディスカッションし、実際にアクションに繋げる「水上村Chakkathon(チャッカソン)」が開催されました。

その結果、水上村で「暮らす」「働く」「遊ぶ」を体験できる視察ツアー「お試しワーケーション」などの企業誘致施策が誕生したのです。

チャッカソン開催から約1年の時を経て、「お試しワーケーション」がいよいよ本格始動するということで、私たち取材班は水上村へ向かいました。

今回は、お試しワーケーションに参加した「株式会社reQ」に同行し、その様子に密着した体験レポートを紹介していきます。

水上村で一体どんな出会いや体験が待っていたのか?
水上村を地方進出先に選びたくなる発見はあったのか?

地方進出先やリモートワークの新たな拠点をお探しの方は、ぜひご覧ください!

水上村で企業誘致を目指すお試しワーケーションが始動

水上村チャッカソンには、水上村役場の職員をはじめ、観光協会、教育委員会、地元企業、地域おこし協力隊、IT企業の方々が参加しました。

チャッカソンとは、アイデアとマラソンを組み合わせた「アイデアソン」、そして「アイデアに着火する(チャッカ)」を組み合わせて誕生した言葉です。

「水上村だからこそできる企業誘致とは何か」
「水上村の存在をどうやって企業の方に知ってもらうか」

水上村の未来を救うために集まった有志が各々の経験や知見を生かし、さまざまなアイデアに着火。

その結果、「企業の方が水上村の存在を知る”フック”」となり、「水上村の特長を存分に生かせる」企業誘致施策が誕生しました。

  • お試しワーケーション|水上村視察ツアー
  • 水上村でととのう”Totonou”|天空のサウナ
  • 空き地・空き家の有効活用
  • 5Gインフラ整備の実現
  • 2030年に目を向けた実証実験の村づくり

この記事では、お試しワーケーション(水上村視察ツアー)について詳しく紹介しています。

他の施策も気になる方は、水上村チャッカソンの密着取材記事をぜひご覧ください。

水上村チャッカソンVol.1|水上村で企業誘致を目指す一大プロジェクトが始動!
水上村チャッカソンVol.2|アイデアに着火せよ!ディスカッションに密着!
水上村チャッカソンVol.3|水上村の未来を変えるアイデアと施策が誕生!

本格始動したお試しワーケーションとは?

地方に新たな拠点を置いて働く際、「スマホはちゃんと繋がるのか?」「Wi-Fiで仕事はできるのか?」と不安になる人も多いでしょう。

本格始動することになった「お試しワーケーション」は、水上村の弱点であるインフラ整備を強化するとともに、大自然に囲まれたサテライトオフィスで実際にお仕事をしていただく視察ツアーです。

水上村視察ツアーでは、水上村にあるコワーキングスペースでお仕事をしていただく他に、自治体や村民と触れ合える機会のご提供や、水上村の歴史や文化に触れられる名所の案内などが計画されています。

美味しい地産地食の料理や心が安らぐ宿などもご提供し、企業の方に水上村で「暮らす」「働く」「遊ぶ」というイメージを持っていただくのが、お試しワーケーションの狙いです。

チャッカソンから約1年後、水上村役場の全面協力によってお試しワーケーションが遂に実現しました。

お試しワーケーションに参加した株式会社reQを紹介

2021年12月13日〜14日、お試しワーケーション(水上村視察ツアー)が初めて実施されました。

今回視察ツアーに参加したのは、鹿児島県南九州市を拠点とする「株式会社reQ(リキュウ)」の百瀬元気さん(CEO)と前迫昇吾(CCO)さんです。

株式会社reQでは、鹿児島県の特産品のお茶と、全国各地の銘菓を組み合わせ、ポストサイズでユーザーの自宅へ定期配送する企業向けの福利厚生サービスを検討しています。

画像出典元:株式会社reQを設立しました

企業の社員同士が同じものを食べることで、離れた場所にいる社員たちと共有の話題で盛りあがることができ、「リモートワークの課題とされるコミュニケーション不足の解消に貢献したい」という想いが込められたサービスです。

株式会社reQは、熊本県の小さな山村である水上村視察ツアーになぜ興味を持ったのか?

視察ツアー参加のきっかけについて、reQのお二方にお話をうかがってみました。

ーーー各地方のメーカーさんやお茶農家さんとお話をしたい

株式会社reQでは、テレワーカーの孤独感の解消や企業の満足度向上に寄与するとともに、各地方の生産者と新たな販路を共に開拓することにも力を入れています。

百瀬さんは、視察ツアーに参加したきっかけについてこう話されました。

「お茶は全国各地それぞれに個性があり、作り手さんの気持ちやストーリーもあります。各地方のメーカーさんやお茶農家の方々とお話をしたいというのが、今視察ツアーに参加した大きなきっかけです。」(百瀬さん)

水上村には、寒暖差が大きく、お茶に必要な年間の平均気温を確保できる水上村特有の気候を生かしてお茶を製造しているお茶農家さんがいます。

株式会社reQのサービスモデルと水上村の相性は良く、さらにお二方が普段リモートワークをされている現状も、視察ツアー参加を決めた理由だそうです。

「僕たちは普段リモートワークをしています。ワーケーションという形で、お互い顔を合わせながら仕事をする働き方がどんなものか体験してみたいと思いました。」(百瀬さん)

近年の働き方改革により、急速に普及したリモートワークやワーケーション。

株式会社reQは、現在の事業にプラスアルファをもたらす水上村に興味をもってくださったようです。

水上村を知り、楽しむ|お試しワーケーション1日目

ここからは、reQのお二方が参加したお試しワーケーションの様子を紹介していきます。

水上村視察ツアー1日目は、石倉交流施設での役場職員との挨拶から始まり、大自然に触れられる名所の視察やお茶農家への訪問などが行われました。

【1日目のスケジュール】

  • 水上村役場職員からの挨拶(石倉交流施設)
  • 水上村視察(市房山キャンプ場、市房山神社など)
  • お茶農家への訪問(浜川園製茶)
  • 農家の宿へチェックイン

水上村の村づくりを支える役場職員とご対面

始めに訪れたのが、会議や集会、イベントで利用される多目的スペース「石倉交流施設」です。

緑生い茂る自然に囲まれた石倉交流施設

石倉交流施設では、水上村役場職員からのご挨拶や水上村の現状の説明、株式会社reQの事業紹介などが行われました。

石倉交流施設にあるディスプレイを使い、企業の説明をする百瀬さん
水上村の歴史や文化について説明する役場職員

水上村には、都会に住む人が思わず言葉を失い、写真撮影に夢中になってしまう魅力的なスポットがたくさんあります。

春になると美しい一万本桜が咲き誇る市房ダム湖
神秘的な樹林が広がる市房山の原生林
標高1,000mにある陸上競技場、水上スカイヴィレッジ

しかし、近年の大きな課題である人口減少に歯止めをかけるには、水上村と企業が協同し、雇用創出や地域活性化に繋げる施策が必要とされている状況です。

そんな水上村に目を向けてくださった株式会社reQに対して、「ぜひ我が村の魅力を知り、企業誘致に前向きになってほしい」という姿勢が役場職員から感じられました。

壮大な市房山の自然に感動

役場職員と対面を終えた後、水上村の自然に触れられる名所へ案内されました。

車で向かったのは、市房山の登山口にあり、美しく清らかな球磨川の水源が流れる市房山キャンプ場です。

水上村オススメのレジャースポット|市房山キャンプ場

江戸時代の頃には宿泊所があったそうで、市房山キャンプ場自体にも古い歴史があります。

市房山の奥へと足を踏み入れる百瀬さんと前迫さん

キャンプ場の奥には、村鳥とされるセキレイや国指定天然記念物ゴイシツバメシジミなどが生息する山林が広がっています。

見渡す限りの緑に染まった市房山の原生林

物静かで神秘的な樹林が広がる市房山の原生林。都会でなかなか味わうことができない大自然は、訪れた人を釘付けにし、心を魅了します。

圧倒的な存在感の市房杉に触れる百瀬さん

市房山の歴史を象徴する樹齢1000年の「市房杉」は、圧倒的な自然のパワーを感じさせます。

市房杉から自然のパワーを感じとっている前迫さん

市房山には、人気アニメ「夏目友人帳 伍」のキービジュアルの背景となった、『市房神社第二鳥居』があります。

夏目友人帳のファンなら一度は訪れてみたい市房神社第二鳥居

市房山では、マイナスイオンをたっぷり吸収できる森林セラピーも実施されており、都会の喧騒に疲れた人を癒やすさまざまな体験が待っています。

お茶農家「浜川園製茶」で水上村のお茶を体験

続いては、reQのお二方が視察したいと懇願されていた水上村のお茶農家「浜川園製茶」を訪問しました。

水上村のお茶どころ、浜川園製茶の看板

浜川園製茶では、濱川俊一郎さんと裕子さんご夫妻、濱川隆浩さんと彩美さんご夫妻で、寒暖差が大きく、お茶に必要な年間の平均気温を確保できる水上村特有の気候を生かしたお茶づくりをしています。

濱川さんご家族から貴重なお話を聞くreQのお二方

標高約380mにある茶畑では、5月から8月にかけて茶摘みの様子も見られるそうです。

一面に広がる浜川園製茶の茶畑

日本の美味しいお茶にこだわりを持つreQのお二方に、濱川さんご家族が製造工場の中を案内してくださりました。

真剣な眼差しで説明を聞く百瀬さんと前迫さん

地元の生産者から直接お話を聞き、生産の裏側まで見られるのも視察ツアーならではの醍醐味です。

将来、株式会社reQが水上村に進出することになった時、どのようなアイデアが生まれ、どのような事業に発展するのか、想像しただけでもワクワクします!

農家の宿「茶乃実」にチェックイン

今回の水上村視察ツアーの宿になったのは、浜川園製茶さんが経営する農家の宿「茶乃実」です。

牛小屋をリノベーションしてつくられた茶乃実にチェックイン

茶乃実に入って驚いたのは、広々とした空間と開放感を演出する高い天井です。

驚くほど高い茶乃実の天井

のほほんとした趣のある宿で、お二方が気になっていた浜川園製茶でつくられたお茶が振る舞われました。

農薬と除草剤を20年以上使用せず、有機肥料主体で栽培した自慢のお茶を味わうお二方。

旅の疲れを癒す水上村のお茶を堪能する百瀬さんと前迫さん

地元に根付いた産業とその生産者に触れられた貴重な時間に対して、reQのお二方はこう話されました。

水上村のお茶農家・濱川さんとお話する百瀬さんと前迫さん

お茶の仕上げに使う熱風機をストーブにするのは、なかなか発想できないことです。茶乃実さんがやられているのはすごく価値があることだと思いました。日本茶やお茶が好きな人が泊まるのにすごく適した宿で、”きらりと輝くもの”を感じられましたね。」(前迫さん)

株式会社reQと浜川園製茶が水上村の未来を変えるかもしれない

お茶農家さんの創意工夫ってすごく印象深くて、ストーリーを交えて飲むと味わいが違うんです。オンラインでいつでもどこでもつながれる時代なので、”こういう人たちがつくっているんだよ”ということを知る場、伝える場があってもいいのかなって思いますね。自分たちも何かお手伝いできるのではないかと思いました。」(百瀬さん)

懇親会で水上村で暮らす人たちと歓談

お試しワーケーションにおいて外せないのが、地域住民と美味しい食事、美味しいお酒を楽しみながら交流する懇親会です。

初対面とは思えないほど盛り上がりを見せた懇親会

水上村の住民の”あたたかさ”と”やさしさ”に触れられる懇親会。

reQのお二方は、地産地食の料理と地域自慢の球磨焼酎をいただきながら歓談されました。

水上村で「暮らす」をイメージできる懇親会はあっという間に過ぎ、1日目の水上村視察ツアーは終了しました。

水上村で働く|お試しワーケーション2日目

視察ツアー2日目、石倉交流施設でコワーキングでの仕事体験が実施されました。

この日は、熊本県職員の方から補助金の説明や事業内容の確認などがオンラインで行われ、その後、施設内でお仕事体験をする流れとなりました。

石倉交流施設のキャパシティは100人程度で、リモートワークの拠点として使えるインフラ環境や設備も整っています。

水上村で「働く」を体験された、株式会社reQのお二方の様子や感想を紹介していきます。

石倉交流施設の第一印象は?

石倉交流施設の内装・外装を見て、株式会社reQのお二方はこう話されました。

インタビューに答える百瀬さんと前迫さん

「開放感や吹き抜けの感じがめちゃくちゃかっこいいです!イケてるなって思いました!」(前迫さん)

石倉交流所の吹き抜けの天井と照度の高い照明

「電気が多めで明るい印象が強いです。ドアも今どきっぽくてキレイですね。建物自体の良さを部分的に残しつつ、石倉をリノベーションしてオフィスやフリースペースにしているところってあまりないと思うので、かっこいいなと思いました。」(百瀬さん)

石倉交流所の個性的でオシャレな内装

石と木材でつくられた風情のある石倉交流所の見た目は、お二方とも好印象!

では、リモートワークをすることを考えた時、設備面の満足度はどうなのか?

率直な感想をお二方に伺ってみました。

石倉交流施設の設備の満足度は?

石倉交流施設には、リモートワークや会議に役立つ備品が揃っています。

  • 大型プロジェクター
  • ホワイトボード
  • 黒板
  • ディスプレイ
  • 電源タップ
  • 高速Wi-Fi
  • テーブル
  • 椅子

実際に石倉交流施設で作業してみたお二方は、こう話されました。

「前職が通信会社なので、スマートフォンの通信はちょっとだけ気になりました(笑)。ですけど、音響、ディスプレイ、プロジェクター、ホワイトボードなどが備わっているのは助かりますね。通信だけではなく、他の部分が充実しているのは大切だなと思いました。」(百瀬さん)

会議やイベントに活用できる音響機材

「石倉交流施設にあるような備品って、揃っていない場所も多いんですよ。」(前迫さん)

石倉交流施設でお仕事体験をする百瀬さんと前迫さん

リモートワークの拠点を探しているお二方に、石倉交流施設は合格点をいただけたようです!

また、空き地や空き家をリノベーションし、コワーキングスペースにする施策も計画されており、今後さらに働きやすい場所に成長することは間違いありません!

お試しワーケーションを体験した株式会社reQにインタビュー

チャッカソンで生まれた企業誘致施策の第一弾「お試しワーケーション」。

株式会社reQの百瀬さんと前迫さんに、視察ツアーを体験した感想をお聞きしました。

ーーー水上村に来た時の第一印象をお聞かせください

「水上村の存在は知りませんでした。実際に来てみたら、里山らしい里山だなと。人吉から30分程度で来られるので、田舎暮しや古民家暮らしに憧れている人には向いているなと思いました。これから若者が増えていったとき、どんな村になっていくんだろうと期待感を感じられる村でした。」(前迫さん)

朝焼けが照らす水上村の棚田

ーーーお試しワーケーションの感想をお聞かせください

「仕事の場合、東京ならアクセスの良さなどを取りますが、地方のコワーキングやサテライトオフィスでは逆だと思っています。アクセスよりも、その地域に体験の場がどれだけあるかというのが重要なんです。茶乃実さんとお話して宿に泊めていただきましたが、実際に体験しないとこの魅力って気づけないと思うんです。夜の懇親会で地域住民の方と触れ合えたことによって、来たときと今とで印象も変わりました。」(百瀬さん)

ーーーもし水上村に進出した場合、ビジネスの可能性はどう広がりますか?

「現在の事業を始めたきっかけは、『働く人が、働くところの中にいる”豊かさ”を見出せていない』と思ったからです。豊かさとは自然や人と人との触れ合いのことです。働く人が、町のいろんなアセットを組み合わせながらワーケーションをする中で、いろんな挑戦ができるような場所づくりのサポートができるんじゃないか?と考えています。」(百瀬さん)

浜川園製茶で事業について語る百瀬さん

「まずは水上村を知ってもらうことが大切です。実際に訪れてみないとわからないことが多いので、まずは茶乃実さんのお茶が『水上に行ってみよう!』というフックになると思いました。」(前迫さん)

「自宅で茶乃実さんのお茶を体験してもらい、茶乃実さんのストーリーを知ることで『こういう人がこんな場所にいるんだ』という興味をもってもらえます。その後、どうやって水上村に行けばいいのか?と考えてもらえるためのきっかけづくりはお手伝いできるんじゃないか、と思いました。」(百瀬さん)

ーーーまた水上村に来てみたいですか?

「お茶にどっぷりつかれる宿があり、実際に体験することでアイデアが生まれると思いました。また来たいですね!」(前迫さん)

茶乃実でのんびりとした時を過ごす前迫さん

「reQは今後3人目、4人目とメンバーを増やしていけるように頑張っていて、新しいメンバーにも水上村に来てもらえたらいいなと考えています。また視察ツアーで合宿的にやらせていただけたら、次は2回目なので僕らもちゃんと準備できると思います。」

水上村でお試しワーケーションを体験しませんか?

霊峰市房山に抱かれた小さな水上村には、清らかな球磨川の源流、市房ダム湖に咲き乱れる美しい一万本桜、神秘的な樹林など、大自然が生み出した宝が存在します。

地方で新たな活動拠点をお探しの方は、水上村で「暮らす」「働く」「遊ぶ」を体験できるお試しワーケーション(みずかみのワーケーション)を皆さんも体験してみませんか?

お試しワーケーションでは、水上村のコワーキングスペースが無料で開放され、水上村までの交通費・宿泊費が最大6泊分補助されます。(先着10社2名様まで)

応募方法やツアー概要については「みずかみのワーケーション公式サイト」でご覧になれますので、興味のある方はぜひチェックしてみてください!

水上村のあたたかくやさしい役場職員と村民の方々が、あなたをお待ちしております!

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