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水上村で新しい挑戦。宿泊施設の運営に楽しみ膨らむ

スローバケーションホステル MIZUKAMISO
若旦那 三瓶 達郎さん
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水上村の宿泊施設『スローバケーションホステル MIZUKAMISO』の若旦那。海の男から山の男へ転身した、三瓶達郎さんにインタビュー。

水上村へ移住し、新たなチャレンジを

水上村との接点はどのようにして生まれたんですか

三瓶さん:「宿泊施設の事業継承がきっかけ」

前職はスキューバダイビングのインストラクター。沖縄で、約 12 年にわたって働いてきました。そんな私が水上村にやってきたのは、宿泊施設の事業承継がきっかけでした。当時は新型コロナの流行第1波で、仕事の仕方や生活様式がガラッと変わり始めていた頃。ちょうど私も今後の働き方や生き方について考えていたところだったので、「環境を大きく変えて新たなチャレンジをしよう!」と、宿泊施設の運営と水上村への移住を決意しました。

水上村のイメージと実際に訪れたときの印象を聞かせてください

三瓶さん:「想像と違って、いい意味で拍子抜けした」

九州に住むのは初めてで、水上村という地名を聞くのも初めて。さっそくネットで検索してみると人口 2,000人の村だと知り、少し閉鎖的な「ザ・村」のイメージを抱いたのが正直なところです。しかし、実際に水上村に住んでみると、周りの方から本当によく声をかけていただき、いい意味で拍子抜けしました。それどころか、困っていたらちょっと手伝ってくれるなど、助けていただくことも少なくありません。そういったふとした親切に触れるにつけ、村の方々には山奥のこの場所で生き抜く知恵や技術、タフさ、そして助け合いの精神があるのだと感じ入るものがあります。

MIZUKAMISO の魅力と現在の状況を教えてください

三瓶さん:「市房山を望み、スローに過ごせる宿」

『スローバケーションホステル MIZUKAMISO』の施設の大きな魅力は、眼前に壮大な市房山を望むことができるところ。山に抱かれた気分になって、オープンスペースで気持ちよく仕事をしたり、読書をしたり、昼寝をしたり、夜には焚き火を囲むのもおすすめです。単に寝泊まりする場所ではなく、自分らしくスローに過ごせる、居心地のいい空間を目指しています。
施設のリニューアルとしては、まず食堂だった和室の広間を広げてカフェスペースにし、バーカウンターも新たに設置して滞在中に自由にお使いいただけるようにしました。またハンモックや卓球台を置いて、滞在期間をより楽しいものにできるように工夫しています。つい先日はDIYしたブランコも設置しましたよ。
そして最近、かつて宴会場だった場所をドミトリースペースへと改装し、より多様なニーズも対応できるようになりました。魅力ある施設に向かって、少しずつ近づいていけたらと思っています。

村を訪れるきっかけとなる施設を目指して

MIZUKAMISO の今後の展望を聞かせてください

三瓶さん:「MIZUKAMISO がなかったら水上村には一生来ることはなかった」

最近宿泊されたお客さまから「MIZUKAMISO がなかったら水上村には一生くることはなかった」という声を何度かいただきました。最初は、まさに自分もそうだなぁと思って笑っていましたが、よくよく考えてみるとこれってすごいことだと思うんです。私たちが MIZUKAMISO を運営していくことで、まだ水上村に来たことがない方々に来てもらうチャンスが生まれ、水上村の豊かな自然や食、ジビエ、体験などを知ってもらうことができるのではないかと。少し大げさですが、水上村を訪れるきっかけとしての『MIZUKAMISO』になれたらいいなと思っています。
また私自身のインストラクター経験も生かしながら、来ていただいたお客さまに水上村の自然を満喫していただけるようなアクティビティーの展開も予定しています。水上村は川や沢、ダム湖、山など豊富なコンテンツがあって非常にポテンシャルが高いですからね。現在開催しているアクティビティーは私が沖縄時代にやっていたSUP(サップ。スタンドアップパドルボードの略)のみですが、今後は地元の方と一緒になってアクティビティプログラムを作っていけたらいいなと考えています。ここ水上村でしか体験できないコンテンツを提供し、お客さまの記憶に残る感動体験のご提供を目指していきます。

水上村に来て、不便なことはありますか?

三瓶さん:「不便さと同時に、本質的な豊かさにも目を向けたい」

確かに水上村は地理的にすごく不便で、他にもないものを挙げようとするとたくさん出てきます。しかしここには、物質的な豊かさとは違う豊かさがあると感じています。ここでしか出会えない人の温かさ。ここでしか食べられない山の幸。ここでしか見られない神秘的な自然。そういったものに囲まれながら自分を見つめ、自分だけの時間をゆっくり過ごしていると、水上村には何か人の本質的な豊かさに迫るヒントがあるように思います。

若い人が挑戦し、応援し合える地域へ

水上村への移住を楽しめる人ってどんな人でしょうか

三瓶さん:「自然を楽しみととらえられる人には最高の場所」

先の答えと重複する部分がありますが、ないものを並べるのではなく、あるものを見つめられる人だと思います。都会のようないわゆる商業施設はなくても自分で楽しみを見い出したり、自然を楽しみと捉えたりするような人であれば、水上村は願ってもない素晴らしい場所だと思います。

移住を考えている人に向けてメッセージをお願いします

三瓶さん:「何もない、だから挑戦が面白い」

移住をする前には、そこがどんな地域なのかできるだけ近くで感じてみたいのではないでしょうか。今後『MIZUKAMISO』では、何泊か移住体験ができるようなサービスを提供したいと思っています。水上村の空気感を感じていただくお手伝いができればうれしいです。
田舎には何もないとよく言われますが、何もないからこそ新しいことに挑戦する場としては面白いと言えるかもしれません。私も「(挑戦が)楽しみ!」の一心で水上村にやってきて、今も日々「楽しみ!」が仕事の原動力です。今以上に、若い人が面白がって挑戦する地域、それを応援し合う地域になっていけばいいなと思っています。