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水上村に住む人たちの言葉を実現し支援することが、活力のある元気な村をつくる

水上村村長
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おいしい水とキレイな空気、うつくしい大自然に恵まれた山あいの集落「水上村」。観光客の増加とともに、近年は田舎暮らしに興味を持たれる方が移住先候補として注目を集めています。

都会とは異なる地方移住のメリットとデメリット、そして在住している人たちに向けた水上村の未来について、村長の中嶽 弘継氏に話をお聞きしました。

水上村にとって人は宝。人を育てる環境をつくることが大事

移住や観光、水上村に興味を持つ人が増えている理由は何でしょうか

中嶽村長:「豊かな自然と美味しいお米、そして人の温かさ」

四季の景観が豊かな水上村の自然が、まず人を惹きつけるのではないでしょうか。日本三大急流のひとつ「球磨川」が流れる水は、清冽という言葉がピタッとハマるほどの美しい水源。熊本県で2番目に高い山として知られている「市房山」もまた素晴らしい眺望が目の前に広がる絶景スポットです。ここは樹齢800年以上の市房杉が見られるほか、科学的エビデンスを持ち、予防医学的効果を目指す森林浴が行える森林セラピー認定の地域として観光客からも注目を集めています。こうした緑豊かな土地柄である故に、農業と林業が盛んな村であり、お米をはじめとする食材にも恵まれているのは水上村の特徴ですね。
そして人の温かさ。おすそ分け文化が根付いた人情味あふれる水上村では、あらゆる世代が住みやすいと実感できる環境を支援することに力を入れています。村の活性化を目指す住民たちの活動が少しずつ若い世代にも認知され、水上村への移住に興味を持たれる人が増えているのではないでしょうか。

水上村で生活をするにあたり、具体的にどのような支援がありますか

中嶽村長:「人は宝。人を育てる支援が大切」

高度経済成長から成熟した世の中となった昨今、先進国の仲間入りをした反面、都会と地方で教育や生活に格差が出てしまいました。その格差を縮めるため、水上村で実施しているのが、子育てを支援する助成金制度です。
水上村の子育て支援制度の一例
・18歳までは医療費無償
・給食費の無償化
・通学費用や下宿代の補助金
・修学旅行費用の負担削減
これらは支援の一部ですが、他の地域と比べても子育てしやすい環境が整っているかと思います。人は「宝」です。人を育てるためにも出会いの場を創造するような仕掛けを設け、若い世代へのサポートに力を入れていかなければと強く感じています。

水上村への移住を希望する場合、仕事や住む場所の受け入れ先はどうですか

中嶽村長:「仕事と生活ができる支援体制が充実」

雇用は、むしろウェルカムです。以前は難しいとされていた農地の貸し借りも、今は法律が緩和されたので農地の確保が容易にできる環境となりました。人口減少による過疎化から後継者がいないという課題を抱えていますので、県外からの移住者が農業をスタートすることにも前向きです。国からの補助金に加え、水上村独自の支援制度も充実しており、まかなえない部分は補助金を差し上げるなど、専業農家をフォローできる体制を整えています。また住居についても、空き家はあるのに(さまざまな理由で)利用できないという問題に対して、移住者はもちろん若い世代から独身世代までが住める住宅建設に力を入れています。安心して仕事ができて生活ができる、そこは常に意識しています。

観光や合宿誘致として、水上村の自然に人が集まりつつあります

観光客やスポーツ合宿で利用される方も増えているそうですね

中嶽村長:「観光客が増えるからこその課題に向き合う」

水上村の年間観光客数が増加傾向にある昨今。温泉郷を拠点に長期合宿の受け入れをしている水上スカイヴィレッジは、全国のアスリートからも関心が高い注目のスポット。標高1000m以上、全天候型トラックとクロスカントリーが併設されたトレーニングステージは、マラソンの高地トレーニングに最適な場所として、さまざまなスポーツ団体が足を運んでくれるようになりました。近年は箱根駅伝マラソンの優勝メンバーや監督が合宿に訪れるなど、盛り上がりをみせています。とはいえ、増える利用客に対して旅館や民宿など宿泊場所が少ないのも事実です。3月には毎年恒例の桜まつりがあるので、宿泊所を増やすことは今後の課題ですね。

観光の名所では、市房ダムの桜が大絶景とお聞きしています

中嶽村長:「県外からも注目される一万本桜は必見」

水上村の観光名物・市房ダムの桜は、昭和36年に役場職員が出したアイディア。約1万本の桜を当時の中学生が埋めたという記録が残っており「一万本桜」と呼ばれている素晴らしい桜の名所です。現在は枯れたり伐採されたりして減ってしまいましたが、それでも春になると満開の桜がダム周辺を埋め尽くし、たくさんの人が訪れる場所として親しまれています。3月に開催される桜祭りでは露店が並び、ステージイベントや抽選会、そして日本一早い花火大会が開催され、県外から水上村に訪れる観光客も年々増えていますので、どこかに特化するのではなく総合的に村が後押しできればと考えています。

リアルな声を聞いて、住む人のニーズに応える機会をもっと増やしていきたい

村長として、若い世代に期待していることは?

中嶽村長:「若い力でさらに元気な水上村に」

水上村の人口を復活させるために、先に述べた子育て支援制度を充実させた結果、平成27年で1.72人だった出生率が平成30年で2.21人と増えました。外から移住してくる人も含め、安心して子どもを産める環境を提供していきたいですね。若い世代が子育てと仕事を両立しながら、水上村を元気にしてもらえたらと思います。

小さな子どもを持つ家庭に対して工夫されていることはありますか?

中嶽村長:「現実と理想のバランスを見ながら支援」

水上村は共稼ぎ世帯が多いので「実質的な部分」と「住む人の声」、両方のバランスを見て子育てと仕事の支援をしています。例えば、以下のようなサポートを実際に行っています。
安心して子どもを預けられる施設を提供
小さなお子さんがいるご家族のために19時まで子どもを預けられる「わんぱくキッズ」という施設を村で提供しています。それ以外にも子育て支援センターをつくり、子どもたちへの教育を村の人たちで支えています。
保護者の声を直接ヒアリング
子育て支援をする上で重要とされるのが、保護者のニーズを理解すること。私も入学式や卒業式など学校行事に参加して、PTAの声をお聞きするようにしていますが、今年は昭和55年以来、水上村の住人を集めて座談会を開催し、不安や疑問を話していただく機会を設けました。仕事や子育て、教育、災害、交通機関などさまざまな意見が飛び交い、本当に必要とされることが洗い出されましたので、いただいた要望を可能な限り実行できるよう、役場職員と連動して進めています。

ニーズを汲み取り実行する役場職員とは、どのような交流をされていますか?

中嶽村長:「村長と若者の交流会を開催」

実は昨年、若い世代の役場職員と私で意見交換会を行いました。中堅の管理職は入らない「村長と若い世代」というシンプルな構図です。若い職員たちの自由なアイディアはとても興味が湧きましたし、今後の事業計画を実現していく中で有意義な時間でしたね。自分たちの言葉が実現されていけば「やりがい」が生まれますし、こうした機会はとても貴重。座談会はまた近いうちに開催する予定です。

最後に、水上村が目指す未来についてメッセージをお願いします

中嶽村長:「自由な発想と挑戦で元気な村に」

自然豊かな水上村は、若者から移住者まで、あらゆる世代に向けた支援に力を入れています。課題もありますが、自由な発想を積極的に取り入れ、水上に住む人がイキイキと生活できることを何よりも大切にしています。最近では食の向上を目指し、台湾の観光物産イベントに出展するなど、新しいことに挑戦しています。若い人たちをバックアップしながら、水上村全体を盛り上げていきたいですね。